食中毒

ノロウイルス胃腸炎関連情報集め(Q&A)

(出所:厚労省)
Q1 ノロウイルスによる胃腸炎はどのようなものですか?
ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は、一年を通して発生していますが、特に冬季に流行します。
ノロウイルスは手指や食品などを介して、経口で感染し、ヒトの腸管で増殖し、おう吐、下痢、腹痛などを起こします。健康な方は軽症で回復しますが、子どもやお年寄りなどでは重症化したり、吐ぶつを誤って気道に詰まらせて死亡することがあります。
ノロウイルスについてはワクチンがなく、また、治療は輸液などの対症療法に限られます。
従って、皆様の周りの方々と一緒に、次の予防対策を徹底しましょう。
○ 患者のふん便や吐ぶつには大量のウイルスが排出されるので、
(1) 食事の前やトイレの後などには、必ず手を洗いましょう。
(2) 下痢やおう吐等の症状がある方は、食品を直接取り扱う作業をしないようにしましょう。
(3) 胃腸炎患者に接する方は、患者のふん便や吐ぶつを適切に処理し、感染を広げないようにしましょう。
○ 特に、子どもやお年寄りなど抵抗力の弱い方は、加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱して食べましょう。また、調理器具等は使用後に洗浄、殺菌しましょう。

Q2 「ノロウイルス」ってどんなウイルスですか?
昭和43年(1968年)に米国のオハイオ州ノーウォークという町の小学校で集団発生した急性胃腸炎の患者のふん便からウイルスが検出され、発見された土地の名前を冠してノーウォークウイルスと呼ばれました。
昭和47年(1972年)に電子顕微鏡下でその形態が明らかにされ、このウイルスがウイルスの中でも小さく、球形をしていたことから「小型球形ウイルス」の一種と考えられました。その後、非細菌性急性胃腸炎の患者からノーウォークウイルスに似た小型球形ウイルスが次々と発見されたため、一時的にノーウォークウイルスあるいはノーウォーク様ウイルス、あるいはこれらを総称して「小型球形ウイルス」と呼称していました。
ウイルスの遺伝子が詳しく調べられると、非細菌性急性胃腸炎をおこす「小型球形ウイルス」には2種類あり、そのほとんどは、いままでノーウォーク様ウイルスと呼ばれていたウイルスであることが判明し、平成14年(2002年)8月、国際ウイルス学会で正式に「ノロウイルス」と命名されました。もうひとつは「サポウイルス」と呼ぶことになりました。
ノロウイルスは、表面をカップ状の窪みをもつ構造蛋白で覆われ、内部にプラス1本鎖RNAを遺伝子として持っています。ノロウイルスには多くの遺伝子の型があること、また、培養した細胞及び実験動物でウイルスを増やすことができないことから、ウイルスを分離して特定する事が困難です。特に食品中に含まれるウイルスを検出することが難しく、食中毒の原因究明や感染経路の特定を難しいものとしています。

Q3 ノロウイルスはどうやって感染するのですか?
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このウイルスの感染経路はほとんどが経口感染で、次のような感染様式があると考えられています。
(1) 患者のノロウイルスが大量に含まれるふん便や吐ぶつから人の手などを介して二次感染した場合
(2) 家庭や共同生活施設などヒト同士の接触する機会が多いところでヒトからヒトへ飛沫感染等直接感染する場合
(3) 食品取扱者(食品の製造等に従事する者、飲食店における調理従事者、家庭で調理を行う者などが含まれます。)が感染しており、その者を介して汚染した食品を食べた場合
(4) 汚染されていた二枚貝を、生あるいは十分に加熱調理しないで食べた場合
(5) ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取した場合
などがあります。
特に、食中毒では(3)のように食品取扱者を介してウイルスに汚染された食品を原因とする事例が、近年増加傾向にあります。
また、ノロウイルスは(3)、(4)、(5)のように食品や水を介したウイルス性食中毒の原因になるばかりでなく、(1)、(2)のようにウイルス性急性胃腸炎(感染症)の原因にもなります。この多彩な感染経路がノロウイルスの制御を困難なものにしています。

Q8  ノロウイルスに感染するとどんな症状になるのですか?
潜伏期間(感染から発症までの時間)は24~48時間で、主症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛であり、発熱は軽度です。通常、これら症状が1~2日続いた後、治癒し、後遺症もありません。また、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状の場合もあります。

Q9 国内でノロウイルスの感染による死者はいますか?
病院や社会福祉施設でノロウイルスの集団感染が発生している時期に、当該施設で死者が出たことがあります。
しかし、もともとの疾患や体力の低下などにより介護を必要としていた方などが亡くなった場合、ノロウイルスの感染がどの程度影響したのか見極めることは困難です。
なお、吐いた物を誤嚥することによる誤嚥性肺炎や吐いた物を喉に詰まらせて窒息する場合など、ノロウイルスが関係したと思われる場合であっても直接の原因とはならない場合もあります。

Q10 発症した場合の治療法はありますか?
現在、このウイルスに効果のある抗ウイルス剤はありません。このため、通常、対症療法が行われます。特に、体力の弱い乳幼児、高齢者は、脱水症状を起こしたり、体力を消耗したりしないように、水分と栄養の補給を充分に行いましょう。脱水症状がひどい場合には病院で輸液を行うなどの治療が必要になります。

止しゃ薬(いわゆる下痢止め薬)は、病気の回復を遅らせることがあるので使用しないことが望ましいでしょう。

Q11 診断のためにどんな検査をするのですか?
このウイルスによる病気かどうか臨床症状からだけでは特定できません。ウイルス学的に診断されます。通常、患者のふん便や吐ぶつを用いて、電子顕微鏡法、RT-PCR法、リアルタイムPCR法などの遺伝子を検出する方法でウイルスの検出を行い、診断します(リアルタイムPCR法ではウイルスの定量も行うことができます)。
ふん便には通常大量のウイルスが排泄されるので、比較的容易にウイルスを検出することができます。

Q12 どのような食品がノロウイルス食中毒の原因となっているのですか?
過去のノロウイルス食中毒の調査結果を見ると、食品から直接ウイルスを検出することは難しく、食中毒事例のうちでも約7割では原因食品が特定できていません。その中には、ウイルスに感染した食品取扱者を介して食品が汚染されたことが原因となっているケースも多いとされています。
そのほかの原因としては、ノロウイルスに汚染された二枚貝があります。二枚貝は大量の海水を取り込み、プランクトンなどのエサを体内に残し、出水管から排水していますが、海水中のウイルスも同様のメカニズムで取り込まれ体内で濃縮されるためと考えられています。なお、ノロウイルスに汚染された二枚貝による食中毒は生や加熱不足のもので発生しており、十分に加熱すれば、食べても問題ありません。

Q13 ノロウイルス食中毒の予防方法は?
ノロウイルス食中毒を防ぐためには、(1)特に子どもやお年寄りなどの抵抗力の弱い方は、加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱する(2)食品取扱者や調理器具などからの二次汚染を防止することが重要です。特に、ノロウイルスに感染した人のふん便や吐ぶつには大量のウイルスが排出されるため、大量調理施設の食品取扱者がノロウイルスに感染していると、大規模な食中毒となる可能性があります。具体的な方法はQ14からQ17のとおりです。
Q14 食品中のウイルスを失活化するためには、加熱処理が有効とききましたがどのようにすればよいですか?
ノロウイルスの失活化の温度と時間については、現時点においてこのウイルスを培養細胞で増やす手法が確立していないため、正確な数値はありませんが、同じようなウイルスから推定すると、食品の中心温度85℃以上で1分間以上の加熱を行えば、感染性はなくなるとされています。

Q15 手洗いはどのようにすればいいのですか?
手洗いは、調理を行う前(特に飲食業を行っている場合は食事を提供する前も)、食事の前、トイレに行った後、下痢等の患者の汚物処理やオムツ交換等を行った後(手袋をして直接触れないようにしていても)には必ず行いましょう。常に爪を短く切って、指輪等をはずし、石けんを十分泡立て、ブラシなどを使用して手指を洗浄します。すすぎは温水による流水で十分に行い、清潔なタオル又はペーパータオルで拭きます。石けん自体にはノロウイルスを直接失活化する効果はありませんが、手の脂肪等の汚れを落とすことにより、ウイルスを手指から剥がれやすくする効果があります。

Q16 調理台や調理器具はどのように殺菌したらいいのですか?
ノロウイルスの失活化には、エタノールや逆性石鹸はあまり効果がありません。ノロウイルスを完全に失活化する方法には、次亜塩素酸ナトリウム※、加熱があります。
調理器具等は洗剤などを使用し十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度200ppm)で浸すように拭くことでウイルスを失活化できます。
また、まな板、包丁、へら、食器、ふきん、タオル等は熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱が有効です。
なお、二枚貝などを取り扱うときは、専用の調理器具(まな板、包丁等)を使用するか、調理器具を使用の都度洗浄、熱湯消毒する等の対策により、他の食材への二次汚染を防止するよう、特に注意するよう気をつけましょう。
※塩素系の漂白剤(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)

Q19 患者のふん便や吐ぶつを処理する際に注意することはありますか?
ノロウイルスが感染・増殖する部位は小腸と考えられています。したがって、嘔吐症状が強いときには、小腸の内容物とともにウイルスが逆流して、吐ぶつとともに排泄されます。このため、ふん便と同様に吐ぶつ中にも大量のウイルスが存在し感染源となりうるので、その処理には十分注意する必要があります。
12日以上前にノロウイルスに汚染されたカーペットを通じて、感染が起きた事例も知られており、時間が経っても、患者の吐ぶつ、ふん便やそれらにより汚染された床や手袋などには、感染力のあるウイルスが残っている可能性があります。このため、これら感染源となるものは必ず処理をしましょう。
床等に飛び散った患者の吐ぶつやふん便を処理するときには、使い捨てのガウン(エプロン)、マスクと手袋を着用し汚物中のウイルスが飛び散らないように、ふん便、吐ぶつをペーパータオル等で静かに拭き取ります。拭き取った後は、次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度約200ppm)で浸すように床を拭き取り、その後水拭きをします。おむつ等は、速やかに閉じてふん便等を包み込みます。
おむつや拭き取りに使用したペーパータオル等は、ビニール袋に密閉して廃棄します。(この際、ビニール袋に廃棄物が充分に浸る量の次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度約1,000ppm)を入れることが望ましい。)
また、ノロウイルスは乾燥すると容易に空中に漂い、これが口に入って感染することがあるので、吐ぶつやふん便は乾燥しないうちに床等に残らないよう速やかに処理し、処理した後はウイルスが屋外に出て行くよう空気の流れに注意しながら十分に喚気を行うことが感染防止に重要です。
11月頃から2月の間に、乳幼児や高齢者の間でノロウイルスによる急性胃腸炎が流行します。この時期の乳幼児や高齢者の下痢便および吐ぶつには、ノロウイルスが大量に含まれていることがありますので、おむつ等の取扱いには十分注意しましょう。
※塩素系の漂白剤(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)

Q20 吐ぶつやふん便が布団などのリネン類に付着した場合はどのように処理をすればよいですか。
リネン等は、付着した汚物中のウイルスが飛び散らないように処理した後、洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いします。その際にしぶきを吸い込まないよう注意してください。下洗いしたリネン類の消毒は85℃・1分間以上の熱水洗濯が適しています。ただし、熱水洗濯が行える洗濯機がない場合には、次亜塩素酸ナトリウム※の消毒が有効です。その際も十分すすぎ、高温の乾燥機などを使用すると殺菌効果は高まります。布団などすぐに洗濯できない場合は、よく乾燥させ、スチームアイロンや布団乾燥機を使うと効果的です。また、下洗い場所を次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度約200ppm)で消毒後、洗剤を使って掃除をする必要があります。次亜塩素酸ナトリウム※には漂白作用があります。薬剤の「使用上の注意」を確認してください。
※塩素系の漂白剤(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)

Q21 感染者が使用した食器類の消毒はどのようにしたらよいですか?
施設の厨房等多人数の食事の調理、配食等をする部署へ感染者の使用した食器類や吐ぶつが付着した食器類を下膳する場合、注意が必要です。可能であれば食器等は、厨房に戻す前、食後すぐに次亜塩素酸ナトリウム液に十分浸し、消毒します。
また、食器等の下洗いや嘔吐後にうがいをした場所等も次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度約200ppm)で消毒後、洗剤を使って掃除をするようにしてください。

Q22 感染者が発生した場合、環境の消毒はどのようにしたらよいですか?
ノロウイルスは感染力が強く、環境(ドアノブ、カーテン、リネン類、日用品など)からもウイルスが検出されます。感染者が発生した場合、消毒が必要な場合次亜塩素酸ナトリウム※などを使用してください。ただし、次亜塩素酸ナトリウム※は金属腐食性がありますので、消毒後の薬剤の拭き取りを十分にするよう注意してください。
※塩素系の漂白剤(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)

Q23 感染が疑われた場合、どこに相談すればいいのですか?
最寄りの保健所やかかりつけの医師にご相談下さい。
また、保育園、学校や高齢者の施設等で発生したときは早く診断を確定し、適切な対症療法を行うとともに、感染経路を調べ、感染の拡大を防ぐことが重要ですので、速やかに最寄りの保健所にご相談下さい。
社会福祉施設等においては、「社会福祉施設等における感染症発生時に係る報告について」(平成17年2月22日付厚生労働省健康局長、医薬食品局長、雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長、老健局長連名通知)により、必要な場合は市町村及び保健所への報告等を行うようにして下さい。
なお、介護保険施設等に関しては、厚生労働大臣が定める手順(平成18年厚労告268「厚生労働大臣が定める感染症又は食中毒の発生が疑われる際の対処等に関する手順」)に沿って、必要な場合は市町村及び保健所への報告等を行うようにしてください。

(関連リンク)
福山市HP掲載のノロウイルス対策

腸管出血性大腸菌Q&A(2)

家庭でできる食中毒予防の6つのポイント
-家庭で行うHACCP(ハサップ:宇宙食から生まれた衛生管理)-

 食中毒というと、レストランや旅館などの飲食店での食事が原因と思われがちですが、毎日食べている家庭の食事でも発生しており、発生する危険性がたくさん潜んでいます。
 ただ、家庭での発生では、発症する人が1人や2人のことが多く、また症状が軽かったり、風邪や寝冷えなどと思われがちで、食中毒とは気づかずに重症になったり、死亡する例もあります。

 あなたの食事作りをチェックしてみましょう!

 食中毒予防のポイントは6つです。
ポイント 1 食品の購入
ポイント 2 家庭での保存
ポイント 3 下準備
ポイント 4 調理
ポイント 5 食事
ポイント 6 残った食品
ポイント1 食品の購入

■ 肉、魚、野菜などの生鮮食品は新鮮な物を購入しましょう。
■ 表示のある食品は、消費期限などを確認し、購入しましょう。
■ 購入した食品は、肉汁や魚などの水分がもれないようにビニール袋などにそれぞれ分けて包み、持ち帰りましょう。
■ 特に、生鮮食品などのように冷蔵や冷凍などの温度管理の必要な食品の購入は、買い物の最後にし、購入したら早めに帰るようにしましょう。

ポイント 2 家庭での保存
■ 冷蔵や冷凍の必要な食品は、持ち帰ったら、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう。
■ 冷蔵庫や冷凍庫の詰めすぎに注意しましょう。めやすは、冷蔵庫や冷凍庫の7割程度です。
■ 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に維持することがめやすです。
温度計を使って時々温度を計るとよいでしょう。
細菌の多くは、10℃では増殖がゆっくりとなり、-15℃では増殖が停止しています。しかし、細菌が死ぬわけではありません。早めに使いきるようにしましょう。
■ 肉や魚などは、ビニール袋や容器に入れ、冷蔵庫の中の他の食品に肉汁などがかからないようにしましょう。
■ 肉、魚、卵などを取り扱う時は、取り扱う前と後に必ず手を洗いましょう。
簡単なことですが、細菌汚染を防ぐ良い方法です。
■ 食品を流し台の下に保存する場合は、水漏れなどに注意しましょう。

ポイント 3 下準備
■ 台所を見渡してみましょう。
ゴミはきちんと捨ててありますか?
タオルやふきんは清潔なものと交換してありますか?
せっけんは用意してありますか?調理台の上は かたづけて広く使えるようになっていますか?もう一度、チェックをしましょう。
■ 井戸水を使用している家庭では、水質に十分注意してください。
■ 手を洗いましょう。
■ 生の肉、魚、卵を取り扱った後には、手を洗いましょう。
途中でペット等動物に触ったり、トイレに行ったり、おむつを交換したり、鼻をかんだりした後の手洗いも大切です。
■ 生の肉や魚などの汁が、果物やサラダなど生で食べる物や調理の済んだ食品にかからないようにしましょう。
■ 生の肉や魚を切った後、その包丁やまな板を洗わずに、続けて果物や野菜など生で食べる食品や調理の終わった食品を切ることはやめましょう。生の肉や魚を切った包丁やまな板は、洗ってから熱湯をかけたのち使うことが大切です。
包丁やまな板は、肉用、魚用、野菜用と別々にそろえて、使い分けるとさらに安全です。
■ ラップしてある野菜やカット野菜もよく洗いましょう。
■ 冷凍食品など凍結している食品を調理台に放置したまま解凍するのはやめましょう。室温で解凍すると、食中毒菌が増える場合があります。
解凍は冷蔵庫の中や電子レンジで行うとよいでしょう。また、水を使って解凍する場合には、気密性の容器に入れ、流水を使います。
■ 料理に使う分だけ解凍し、解凍が終わったらすぐ調理しましょう。
解凍した食品をやっぱり使わないからといって、冷凍や解凍を繰り返すのは危険です。冷凍や解凍を繰り返すと食中毒菌が増殖したりする場合もあります。
■ 包丁、食器、まな板、ふきん、たわし、スポンジなどは、使った後すぐに、洗剤と流水で良く洗いましょう。ふきんのよごれがひどい時には、清潔なものと交換しましょう。漂白剤に1晩つけ込むと消毒効果があります。
包丁、食器、まな板などは、洗った後、熱湯をかけたりすると消毒効果があります。たわしやスポンジは、煮沸すればなお確かです。

ポイント 4 調理
■ 調理を始める前にもう一度、台所を見渡してみましょう。
下準備で台所がよごれていませんか?タオルやふきんは乾いて清潔なものと交換しましょう。そして、手を洗いましょう。
■ 加熱して調理する食品は十分に加熱しましょう。
加熱を十分に行うことで、もし、食中毒菌がいたとしても殺菌することができます。めやすは、中心部の温度が75℃で1分間以上加熱することです。
料理を途中でやめてそのまま室温に放置すると、細菌が食品に付いたり、増えたりします。途中でやめるような時は、冷蔵庫に入れましょう。
再び調理をするときは、十分に加熱しましょう。
■ 電子レンジを使う場合は、電子レンジ用の容器、ふたを使い、調理時間に気を付け、熱の伝わりにくい物は、時々かき混ぜることも必要です。

ポイント 5 食事
■ 食事の前には手を洗いましょう。
■ 清潔な手で、清潔な器具を使い、清潔な食器に盛りつけましょう。
■ 温かく食べる料理は温かく、冷やして食べる料理は冷たくしておきましょう。めやすは、温かい料理は65℃以上、冷やして食べる料理は10℃以下です。
■ 調理前の食品や調理後の食品は、室温に長く放置してはいけません。 例えば、O157は室温でも15~20分で2倍に増えます。
■ 乳幼児やお年寄りのO157などの腸管出血性大腸菌感染症は症状が 重くなりやすく、死亡率も高くなります。これらの年齢層の人々には加 熱が十分でない食肉などを食べさせないようにした方が安全です。

ポイント 6 残った食品
■ 残った食品を扱う前にも手を洗いましょう。
残った食品はきれいな器具、皿を使って保存しましょう。
■ 残った食品は早く冷えるように浅い容器に小分けして保存しましょう。
■ 時間が経ち過ぎたら、思い切って捨てましょう。
■ 残った食品を温め直す時も十分に加熱しましょう。めやすは75℃以上です。
味噌汁やスープなどは沸騰するまで加熱しましょう。
■ ちょっとでも怪しいと思ったら、食べずに捨てましょう。口に入れるのは、やめましょう。

 食中毒予防の三原則は、食中毒菌を「付けない、増やさない、殺す」です。
 「6つのポイント」はこの三原則から成っています。

 これらのポイントをきちんと行い、家庭から食中毒をなくしましょう。
 食中毒は簡単な予防方法をきちんと守れば予防できます。
 それでも、もし、腹が痛くなったり、下痢をしたり、気持ちが悪くなったりしたら、お医者さんに相談しましょう。

Q16 最近、「HACCP(ハサップ)」ってよく聞くけど何ですか?
 有効な食中毒対策を行うためには、食中毒を起こす菌をよく知って、これらの菌が食品の製造・加工・調理過程のどこで食品を汚染し、増殖するのかを明らかにしておくことが重要です。
 その上で、食中毒菌の汚染や増殖を防ぐ方法を調理過程に組み込むことが必要です。このような予防方法を確実に行うための新しい方法が、「HACCP(ハサップ)」と呼ばれる衛生管理方法です。
 これは、米国航空宇宙局(NASA)での宇宙食の開発に当たって、高度に安全性を保証する方式として確立された「危害分析に基づく、重要管理点(HACCP)方式」で、食品の生産・製造・加工・消費の工程で発生するおそれのある微生物汚染等の危害を分析し、特に原料生産から重点的に管理する事項又は工程を決め、これが守られているかを常時監視するものです。

Q17 食品はどうやって殺菌したらいいのですか?
 腸管出血性大腸菌は75℃で1分間以上の加熱で死滅します。
 この他、食品に用いる殺菌剤として、次亜塩素酸ナトリウムが食品添加物としてその使用が認められています。
 この効果や使用方法は、濃度、つけおき時間、食品の種類によって異なりますので、各製品の使用説明書をよく読んで使ってください。
 なお、野菜の腸管出血性大腸菌を除菌するには、湯がき(100℃の湯で5秒間程度)が有効であるとされています。

Q18 野菜にも気をつけた方がよいのでしょうか?
 野菜が原因とされる腸管出血性大腸菌の感染例も報告されています。したがって野菜の衛生管理にも十分注意して下さい。具体的には、以下の事項に気をつけて下さい。

 (1) 野菜は新鮮なものを購入し、冷蔵庫で保管するなど保存に気をつける。
 (2) ブロッコリーやカリフラワーなどの形が複雑なものは、熱湯で湯がく。
 (3) レタスなどの葉菜類は、一枚ずつはがして流水で十分に洗う。
 (4) きゅうりやトマト、りんごなどの果実もよく洗い、皮をむいて食べる。
 (5) 食品用の洗浄剤や次亜塩素酸ナトリウムなどの殺菌剤を使ったり、加熱することにより殺菌効果はより高まります。

Q19 まな板やフキンをしっかり洗うようにとよく言われますが、どのように洗えばよいのですか?
 まな板は、使用の都度、洗浄剤でしっかり洗い、熱湯または次亜塩素酸ナトリウム製剤(台所用漂白剤)で、消毒するとよいでしょう。
 また、野菜や果実など生食用食品に用いるまな板と、肉や魚などに用いるまな板は使い分けることが必要です。
 まな板は
(1) 洗剤(台所用合成洗剤)洗浄 →水洗浄 → 湯(55℃)すすぎ →沸騰水かけ
(2) 洗剤(台所用合成洗剤)洗浄 →水洗浄 →湯(55℃)すすぎ →次亜塩素酸ナトリウム(濃度200ppm、1時間浸漬)

 (1)、(2)いずれの方法でも、大腸菌群は検出されなくなります。
 なお、傷ついた古いまな板(特に木製)は、表面が洗浄されにくいので、十分に注意しましょう。
 フキンやスポンジは、菌が増殖しやすいので、十分に煮沸や消毒し、よく乾燥しておくことを心がけましょう。

Q20 電子レンジで加熱すれば菌は死滅するのですか?
 腸管出血性大腸菌は75℃で1分間以上の加熱で死滅します。レンジで調理する時も、食品全体をむらなく75℃で1分間以上加熱すれば、菌は死滅します。
 電子レンジを使う場合は、電子レンジ用の容器、ふたを使い、調理時間に気を付け、熱の伝わりにくい物は、時々かき混ぜることも必要です。
 しかし、食べ物を単に温めるだけでは、菌は死滅しないので注意が必要です。

Q21 食器乾燥機を使うと菌は抑えられますか?
 細菌が増えるためには水分が必要です。従って、細菌の増殖を防止するために食器類を十分洗った後、水滴を拭き取り、乾燥させることが有効です。また、十分な加熱により菌は死滅します。このため、食器乾燥機で食器を加熱・乾燥させることは、菌を死滅させたり、菌の増殖を抑えるために有効と考えられます。

Q22 食肉の安全対策はどのように実施されていますか?
 牛等を食用に供する目的でとさつ解体することは、と畜場法によりと畜場以外では行ってはならないとされています。と畜場に搬入され、とさつ解体される牛等は、すべてと畜検査員の検査を受けなければなりません。検査は、まず生体検査を行い、合格したものだけがとさつを許され、次いで解体前の検査を行い、合格したものが解体を許されます。さらに、解体後の内臓及び枝肉等の検査を行い、すべてに合格したもののみが食用に供することを認められます。
 また、と畜場では検査員の監督下で衛生的な処理が行われていますが、平成8年の腸管出血性大腸菌の集団食中毒事件の多発を踏まえ、腸管出血性大腸菌が存在するとされる家畜の腸内容物や体表面の汚染物に食肉が汚染されることのないよう、と畜場法に基づく処理や消毒方法、施設設備の基準を改正しました。
 と畜場の総合的な衛生状態を監視するために、枝肉の微生物検査が行われ、汚染が高い場合、その原因の究明、処理工程の見直し等を行うことにより、と畜場の衛生管理システムの向上が図られています。(Q51 1(3)参照 )

Q23 食肉は、熱を通せば大丈夫ですか?
 腸管出血性大腸菌は75℃で1分間以上の加熱で死滅しますので、食肉も加熱して食べる限り、安全です。
 特に、ハンバーグなどの挽肉を使った食品、テンダライズ処理(針状の刃を刺し通し、原形を保ったまま硬い筋や繊維を短く切断する処理)、タンブリング処理(調味液を機械的に浸透する処理)、結着(他の食肉の断片を結着させ成型する処理)を行った食肉は、中心部まで75℃で1分間以上加熱して食べましょう。
 なお、レバー等の食肉を生で食べることはひかえるとともに、加熱不十分な食肉(牛タタキ等)を乳幼児やお年寄りには食べさせないようにしましょう。

Q24 牛タタキ等加熱不十分な食肉を製造、調理、販売する上で注意することは何ですか?
 厚生労働省では、生食用食肉に対して次のような衛生基準を定めています。
○ 生食用食肉の成分規格目標
○ と畜場、食肉処理場及び飲食店における生食用食肉の加工等基準目標
○ 生食用食肉の保存等基準目標
○ 生食用食肉の表示基準目標

 また、平成13年4月27日に開催された厚生労働省薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会において取りまとめられた腸管出血性大腸菌の発生防止対策に関する意見は以下のようになっています。

○ 加熱不十分な食肉(牛タタキ等)を原因とする広範な食中毒の発生を防止するためには、食肉処理施設において大量に製造し、広域流通させることは、リスクを高めるので、飲食店等において処理し、同一施設で速やかに喫食されることが望ましい。

○ 原料肉からの二次汚染を防止するために、手指、機械・器具等の洗浄消毒を徹底する必要がある。

Q25 生ハムなどは大丈夫ですか?
 生ハムを含め食肉製品は、熱、水分活性、pH及び保存温度により、製造基準並びに保存基準が設けられており、許可を受けた施設において適切な方法により製造され、適切な温度管理のもとで、製造・保存されています。したがって、定められた基準を遵守して製造・保存されているのであれば、食品衛生上の問題はありません。

Q26 低温殺菌の牛乳では、腸管出血性大腸菌も殺菌されていますか?
 低温殺菌牛乳は殺菌条件である63℃で30分の加熱処理されており、腸管出血性大腸菌は死滅します。

Q27 子供にヨーグルトを食べさせたいのですが、ヨーグルトの衛生管理は大丈夫ですか?
 ヨーグルトは、発酵乳として規格基準が定められており、その原料を62℃で30分間加熱殺菌するか、又は、これと同等以上の殺菌効果を有する方法で殺菌しなければなりません。この殺菌条件で腸管出血性大腸菌は死滅します。また、成分規格では、腸管出血性大腸菌を含む大腸菌群が陰性であることが決められています。

Q28 輸入食品はどんな検査をしているのですか?
 輸入食品については、検疫所において牛肉や野菜を輸入する輸入者に対して、腸管出血性大腸菌について検査を実施し、汚染がないことを確認するよう指導しています。
 また、検疫所において、牛肉や野菜について輸入時の監視を実施しており、違反の可能性が高い食品については、輸入の都度、その他の食品は一定の違反を発見できる検体数に基づく年間計画により、腸管出血性大腸菌の検査を実施しています。

Q29 水道水は安全だと聞きましたが、井戸水やマンションの受水槽の水も安全ですか?
 水道水の残留塩素濃度は、水道法で蛇口部分で0.1mg/リットル以上と定められており、この濃度で大腸菌は十分死滅します。従って、一般に水道水は塩素消毒がきちんとされているので安全です。ただし、長期間水道を利用しなかった場合には、水道管内に水がたまっているため、残留塩素濃度が低くなっていることがあります。そのような場合は、水をしばらく流してから使用するようにしてください。
 また、井戸水については大腸菌の有無、共同住宅(マンションなど)の受水槽については残留塩素の有無を定期的に検査するよう設置者又は管理者に指導されており、この結果に異常がなければ安心です。施設の設置者又は管理者は定期的に検査を行うようにしてください。

Q30 浄水器を通すと残留塩素が除去できると聞きましたが、飲んでも安全ですか?
 塩素消毒がきちんとされている水道水であれば、大腸菌については問題ありません。しかし、浄水器を通した水は、残留塩素が減少しているため、長期間汲み置きした水は飲まない方がよいでしょう。また、水道を長期間使用しない場合は、その後に使用する前に、水をしばらく流してから使用するようにして下さい。なお、浄水器については、カートリッジの使用期限など、使用上の注意をしっかり守り、清潔に保つことが重要です。

Q31 外食する時腸管出血性大腸菌に感染しないか心配です。大丈夫でしょうか?
 都道府県等において、飲食店に対して衛生管理の徹底を指導し、安全性の確保に努めていますのでいたずらに不安になる必要はありません。

Q32 プールで腸管出血性大腸菌に感染することはありますか?
 市民プール、民間のプール等のいわゆる遊泳用プールについては衛生基準が設定されており、それに従い定期的に塩素濃度を測定して、殺菌力が低下した場合には殺菌剤を追加するとともに、プールの水に大腸菌が含まれていないかどうか調査しています。
 家庭用プールについては、水道水を利用し、使用のたびに水を交換しましょう。また、患者や下痢をしている子供などは、プールに入らせないようにしましょう。

Q33 公衆浴場・温泉で感染することがありますか?
 公衆浴場や温泉では、浴槽にお湯を常に入れることであふれさせたり、完全に浴槽水を入れ替えたりして、また循環ろ過装置や消毒剤を用いて浴槽水をきれいにしています。
 また、公衆浴場や温泉の営業者は、利用者が浴槽に入る前に、せっけんを用いて体を洗ってもらったり、下痢症状のある方の共同浴場への入浴を控えてもらうようお願いし、安全性の確保に努めています。
 なお、浴槽水を飲まないようにしましょう。

Q34 動物とのふれあいの際にはどのようなことに注意すればよいですか?
 動物とのふれあいは、情操の涵養(かんよう)などのため有意義ですが、感染予防のため、次のようなことに注意する必要があります。なお、乳幼児などは監督者による十分な注意が必要です。
 ・ 動物とふれあった後には、必ず、石けんを使用して十分に手洗いをしましょう。
 ・ 動物の糞便には触れないようにしましょう。
 ・ 動物とは、キスなどの過剰なふれあいをしないようにしましょう。
 ・ 動物とふれあう場所では、飲食や喫煙などをしないようにしましょう。
(参考)
ガイドライン
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/pdf/02-11.pdf
ポスター
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/pdf/02-12.pdf

腸管出血性大腸菌Q&A(1)

Q1 「腸管出血性大腸菌」って何ですか?

 大腸菌は、家畜や人の腸内にも存在します。ほとんどのものは無害ですが、このうちいくつかのものは、人に下痢などの消化器症状や合併症を起こすことがあり、病原大腸菌と呼ばれています。病原大腸菌の中には、毒素を産生し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こす腸管出血性大腸菌と呼ばれるものがあります。
 腸管出血性大腸菌は、菌の成分(「表面抗原」や「べん毛抗原」などと呼ばれています)によりさらにいくつかに分類されています。代表的なものは「腸管出血性大腸菌O157」で、そのほかに「O26」や「O111」などが知られています。
 腸管出血性大腸菌は、牛などの家畜や人の糞便中に時々見つかります。家畜では症状を出さないことが多く、外から見ただけでは、菌を保有する家畜かどうかの判別は困難です。

Q2 腸管出血性大腸菌の「O157」ってどういう意味ですか?

 大腸菌は、菌の表面にあるO抗原(細胞壁由来)とH抗原(べん毛由来)により細かく分類されています。「O157」とはO抗原 として157番目に発見されたものを持つという意味です(現在約180に分類されています)。
 さらに細かく分類するとO157でも、毒素(ベロ毒素)を産生し溶血性尿毒症症候群(HUS)などの重篤な症状を起こすものは、H抗原がH7(O157:H7)とH-(マイナス)のもの(O157:H-)の2種類です。

Q3 腸管出血性大腸菌のほかに病気を起こす大腸菌がありますか?

 大腸菌には病原性のないものから、腸管出血性大腸菌のように強い病原性を有するものまで様々な種類のものがあります。腸管出血性大腸菌は菌の構成成分の性質からみた分類ですが、大腸菌は病気の起こし方によって、主として以下の5つに分類されます。

1.腸管病原性大腸菌:小腸に感染して腸炎等を起こします。
2.腸管組織侵入性大腸菌:大腸(結腸)粘膜上皮細胞に侵入・増殖し、粘膜固有層に糜爛(びらん)と潰瘍を形成する結果、赤痢様の激しい症状を引き起こします。
3.腸管毒素原性大腸菌:小腸上部に感染し、コレラ様のエンテロトキシンを産生する結果、腹痛と水様性の下痢を引き起こします。
4.腸管出血性大腸菌(ベロ毒素産生性大腸菌、志賀毒素産生性大腸菌):赤痢菌が産生する志賀毒素類似のベロ毒素を産生し、激しい腹痛、水様性の下痢、血便を特徴とし、特に、小児や老人では、溶血性尿毒症や脳症(けいれんや意識障害など)を引き起こしやすいので注意が必要です。
 近年、食中毒の原因となっているものは、O157がほとんどですが、腸管出血性大腸菌にはこの他にO26、O111、O128およびO145などがあります。
5.腸管凝集性大腸菌:主として熱帯や亜熱帯の開発途上国で長期に続く小児などの下痢の原因菌となります。我が国ではまだほとんどこの菌による患者発生の報告がありません。

Q4 腸管出血性大腸菌は毒素を出すと聞いたけれど、どのようなものですか?

 腸管出血性大腸菌は、毒力の強いベロ毒素(志賀毒素群毒素)を出し、溶血性尿毒症症候群(HUS)などの合併症を引き起こすのが特徴です。溶血性尿毒症症候群が発症する機構は十分には解明されていませんが、この毒素が身体の中で様々な障害を起こすことによって、全身性の重篤な症状を出すものと考えられています。
 ベロ毒素には、赤痢菌の出す志賀毒素と同じ1型(VT1)と、それと異なる構造を持つ2型(VT2)及びこれらの亜型があります。
 腸管出血性大腸菌には、これらの毒素のうち1つもしくは複数を出すものがあります。

Q5 DNAパターン分析って何ですか?
 生物の遺伝情報をつかさどるDNAはA(アデニン)、G(グアニン)、C(シトシン)、T(チミン)の4種の塩基からなり、この配列はそれぞれの菌株により異なっていることがわかっています。これを利用して腸管出血性大腸菌 をDNA分析と呼ばれる方法で解析すると、汚染原因菌の由来が同じ株によるものかどうか、更には腸管出血性大腸菌による汚染源が、同じかどうかを推定することができます。腸管出血性大腸菌に対するDNA分析法として、現在、主に「パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)」と呼ばれる方法がもちいられています。
 これは、腸管出血性大腸菌 のDNA を制限酵素で切断処理後、寒天(ゲル)の中で特殊な電気泳動を行い、そこから得られるDNAのパターンを比較する方法です。このパターンは、数十本からなるDNAの断片が作り出すもので、丁度、いろいろな商品についているバーコードの帯に似ています。
 これまで、国内で集団発生を起こした腸管出血性大腸菌のDNAパターンの分析結果から、細かくみると、数千種類のパターンがみられています。

Q6 腸管出血性大腸菌は、最近みつかった細菌ですか?

 腸管出血性大腸菌は昭和57年(1982年)アメリカオレゴン州とミシガン州でハンバーガーによる集団食中毒事件があり、患者の糞便からO157が原因菌として見つかったのが最初で、その後アメリカだけでなくアルゼンチン、イギリス、イタリア、インド、オーストラリア、カナダ、スウェーデン、スペイン、チリ、ドイツ、ニュージーランド、フランス、ロシア、中国、南アフリカなど世界各地で見つかっています。

Q7 腸管出血性大腸菌はどこからうつるのですか?
 腸管出血性大腸菌O157の感染事例の原因食品等と特定あるいは推定されたものは、国内では井戸水、牛肉、牛レバー刺し、ハンバーグ、牛角切りステーキ、牛タタキ、ローストビーフ、シカ肉、サラダ、貝割れ大根、キャベツ、メロン、白菜漬け、日本そば、シーフードソースなどです。海外では、ハンバーガー、ローストビーフ、ミートパイ、アルファルファ、レタス、ホウレンソウ、アップルジュースなどです。
 また、国内で流通している食品の汚染実態を調査したところ、牛肉、内臓肉及び菓子から本菌が見つかったという報告もあります。
 平成9年4~5月に開催された腸管出血性大腸菌O157に関する世界保健機関(WHO)の専門家の会議でも、ハンバーガー、ローストビーフ、生乳、アップルジュース、ヨーグルト、チーズ、発酵ソーセージ、調理トウモロコシ、マヨネーズ、レタス、貝割れ大根のような生食用の発芽野菜が原因として指摘されています。 このように腸管出血性大腸菌は様々な食品や食材から見つかっていますので、食品の洗浄や加熱など衛生的な取扱いが大切です。
 なお、動物と接触することにより感染した事例も報告されております。

Q8 これまでにどのような食中毒事例がありましたか?
 腸管出血性大腸菌による食中毒事例については、国内では、焼肉店などの飲食店や、食肉販売業者が提供した食肉を、生や加熱不足で食べて感染する事例が多くなっています。腸管出血性大腸菌に汚染された食品が広域に流通していたために、複数の自治体で患者が発生する事例もみられます。
 海外では、肉類の他、生鮮野菜を食べて感染した事例も発生しています。米国で発生した生のホウレンソウによる食中毒事例では、複数の州で患者が発生し、アメリカ食品医薬品局(FDA)では、感染原因となったホウレンソウの回収や生のホウレンソウの摂取を避ける旨の勧告を行いました。なお、本事例におけるホウレンソウの汚染原因として、菌を持つイノシシが農場に入り、農場を汚染したことが推測されています。

Q9 これまでどのくらい発生があったのですか?
 腸管出血性大腸菌感染症の患者報告数(無症状病原体保有者を含む)は、平成16年は3,715件、平成17年は3,589件、平成18年は3,910件ありました(平成18年は概数)。
 なお、平成8年以降の腸管出血性大腸菌による食中毒の発生状況は次のとおりです。
○腸管出血性大腸菌による食中毒の発生状況
ff

注) 腸管出血性大腸菌による食中毒事件として、厚生労働省に報告があったものを集計しています。

 腸管出血性大腸菌による食中毒は、年間10~30件、患者数は100~300人で推移しています。平成14年には病院での集団食中毒により9人が亡くなるなど、近年でも死者の出た事例が発生しています。
 なお、感染症法に基づく報告数と比べて、食中毒の患者数が少ない理由は、感染経路がヒトからヒトへの感染と推定される事例があることや、患者が1人の場合に感染原因を特定することが難しく、飲食物を介した感染であると判断される事例が少ないことなどが考えられます。

Q10 これからも腸管出血性大腸菌感染症は発生しそうなのですか?
 腸管出血性大腸菌感染症(無症状病原体保有者を含む)の平成19年の発生状況を見ますと7月22日現在で、47都道府県から1,538名の報告が出ています(最新の発生状況については、http://idsc.nih.go.jp/idwr/pdf-j.html にて感染症発生動向調査週報の最新号をダウンロードの上、ご覧頂けます。)。
 また、海外でも発生が続いています。
 前述(Q7)の世界保健機関(WHO)の専門家の会議でも広範な食品が感染の原因となっており、注意が必要と指摘しています。
 さらに、これまでの多くは、腸管出血性大腸菌感染症は夏場に発生していますが、その他の季節にも発生していることから、常に腸管出血性大腸菌感染症の発生はあるものと警戒し、十分に注意することが必要です。

Q11 どんな時期に腸管出血性大腸菌食中毒は発生しやすいのですか?
 食中毒は一般に、気温が高い初夏から初秋にかけて多発します。この時期は、食中毒菌が増えるのに適した気温であり、これに人の体力の低下や食品などの不衛生な取扱いなどの条件が重なることにより発生しやすくなると考えられます。平成18年の腸管出血性大腸菌の食中毒発生状況をみますと、4月に4件、12人、6月に4件、78人、7月に3件、18人、8月に9件、46人、9月に2件、20人、10月に2件、5人となっており、夏~秋にかけて多いのが分かります。
 したがって、初夏~初秋は腸管出血性大腸菌多発期として、十分注意が必要です。
 しかしながら、気温の低い時期でも発生が見られることから、夏以外の季節も注意が必要です。

Q12 腸管出血性大腸菌がハエについているのですか?
 平成8年11月に、佐賀県内の腸管出血性大腸菌O157の感染者が発生した施設において、採取されたイエバエからも腸管出血性大腸菌O157が検出されました。その後、他の県でも採取されたイエバエから腸管出血性大腸菌O157が検出された例があります。
 これまでのところ、ハエと腸管出血性大腸菌O157伝播との直接的な因果関係については不明ですが、ハエ等のいわゆる衛生害虫が、消化器系感染症の原因となりうることは昔から知られています。
 食品関係施設はもちろん、一般家庭においても、ハエ等の害虫対策にも注意を払って下さい。

Q13 動物からの感染事例はありますか?
 これまでに、ふれあい動物イベント、搾乳体験などを原因とする感染事例が報告されています。牛などの反芻動物では、O157をはじめとする腸管出血性大腸菌を保菌していることがあります。また、反芻動物の糞便に汚染されたウサギなどの小動物の体表から二次的にヒトが感染した事例もあります。

Q14 予防は可能なのですか?
 腸管出血性大腸菌はサルモネラや腸炎ビブリオなどの食中毒菌と同様加熱や消毒薬により死滅します。したがって、通常の食中毒対策を確実に実施することで十分に予防可能です。

Q15 予防方法はどうすればよいのですか?
 腸管出血性大腸菌の予防のポイントは食品の衛生的取扱いです。そのため、次の家庭でできる食中毒予防の6つのポイントを確実に実行し、腸管出血性大腸菌の感染を予防しましょう。
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自己防衛の為の腸管出血性大腸菌情報集め

 食中毒には、「O157」やサルモネラなどの細菌により起こる細菌性食中毒、食品に洗剤などの物質が混入して発生する化学性食中毒、毒きのこや自家調理のふぐなどを食べたときに起こる自然毒性食中毒などがあります。その中で最も発生の多いのがO157に代表される細菌性の食中毒で、全食中毒のうち約90%を占めています

 「O157(オーいちごうなな)」とは、O抗原が157番の大腸菌のことですが、一般に食中毒を起こす病原菌として認知されているO157は、腸管出血性大腸菌O157:H7です。病原性大腸菌にはベロ毒素を産生し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こす腸管出血性大腸菌と呼ばれるものがあります。

 腸管出血性大腸菌には、代表的なO157の他にO1、O18、O26、O111、O128、O145など多くの種類があります。ただし同一O抗原の大腸菌の全てがこの病原性をもつことはなく多くの場合は極少数です。ただしO157:H7は比較的多くこの病原性を示します。O157による食中毒は一般の大人も感染しますが、特に、体の抵抗力の弱い乳幼児や高齢者では、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症(けいれんや意識障害など)を引き起こしやすいので注意が必要。

 「O-111」は「O-157」と同様、ベロ毒素と呼ばれる強毒性の毒素を生産し、下痢や発熱などの食中毒症状を引き起こす。また、合併症状として脳症、溶血性尿毒症症候群と呼ばれる肝臓疾患なども引き起こす。特に子どもや高齢者は重篤に陥りやすい。

 腸管出血性大腸菌O-111とO-157の違いは、抗原(O抗原)による分類上の区分による。症状などに目だった違いがあるわけではない。腸管出血性大腸菌に共通する特徴として、感染力が非常に強いという点がある。菌の数が、他の食中毒の事例の1万分の1程度(おおよそ100個程度)でも発症するおそれがあるといわれている。

 腸管出血性大腸菌は75度以上の熱で死滅させることができる。そのため、肉などを調理する際には十分に加熱することが推奨される。また、レバ刺しやユッケなどで用いられる生食用食肉の取り扱いについては、1996年に発生したO-157による集団食中毒事件を契機として作成・通知された「生食用食肉の衛生基準」においてガイドラインが示されている。

1 腸管出血性大腸菌感染症とは
 腸管出血性大腸菌は、腹痛・下痢・血便などを主症状とする腸管感染症を起こします。
 典型的な症状として、2~9日(多くは2~5日)の潜伏期間の後、激しい腹痛を伴う頻回の水様便、続いて血便が見られます(血便は出血に近い場合もあります)。発熱は多くの場合37℃台と軽度です。症状は、まったく無症状の方から、重症の方まで様々です。
 発症者の約5%が、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症(けいれんや意識障害)などの合併症を起こし、時には死亡することもあります

2 原因と感染経路
 原因はベロ毒素※を産生する「腸管出血性大腸菌」による感染です。
 腸管出血性大腸菌の代表的な血清型にはO157、O26、O111などがあります。「大腸菌」は家畜や人の腸内に存在し、ほとんどは無害ですが、一部に人に下痢などの消化器症状を起こす「下痢原性大腸菌」があり、その中でベロ毒素を産生する菌を『腸管出血性大腸菌』と言います。多くの細菌性食中毒では原因菌を100万個単位で摂取しないと発症しませんが、『腸管出血性大腸菌』は強い感染力を持っており、100個程度で発症する可能性があります。また、子供や高齢者は感染すると重症化しやすいと言われています。
 感染経路は、食品などを原因とする「食中毒」と、「感染症」の2つに大別されます。

 ※ベロ毒素とは、腸管出血性大腸菌が産生する毒素で、VT1とVT2の2種類があります。
腸管出血性大腸菌には、VT1とVT2 の両毒素を産生する菌と、VT1またはVT2のいずれか一方を産生する菌があります。

予防のポイント
外食や調理の際の注意

肉の生食(レバ刺しやユッケなど)は避け、十分に加熱しましょう
肉を焼くときの取り箸やトングなどは専用にして、口に入れないよう注意しましょう
生野菜はよく洗い、ハンバーグなどは中心部まで十分に加熱しましょう(十分に加熱できたかどうかの目安として、ハンバーグの中心から透明の肉汁が出ることを確認します)
調理の時、手指はこまめに洗いましょう。特に、生肉を扱った手指は、他の食材や器具に触る前に、石鹸で十分に洗いましょう
生肉を扱った調理器具は、使用後すぐに洗剤で洗い、熱湯等で消毒してから、他の調理に使いましょう

個人衛生

トイレの後、調理・食事の前に石鹸と流水で十分に手を洗いましょう
動物に接した後は、石鹸と流水で十分に手を洗いましょう
患者の介護をする人は、下痢便に触れないように使い捨て手袋を使い、はずした後も十分に手を洗いましょう
下痢症状のあるときは入浴の順番は最後にし、シャワーを使いましょう
下痢症状のあるときは、プール(特に子供用簡易プール)の使用は控えましょう

Raw Meat なんか・・

生肉なんぞ、一生喰わんでもええ。

喰う側、消費者側の常識の問題
何度も使い回されたパセリを
健康にいいからと子供に食べさす親。

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