6月23日15時34分
 5月17日、生活保護改正案が閣議決定されたが、これが「水際作戦」だとの懸念を受けた。この時の改正案は、生活保護を申請する時に、資産の状況や収入状況、扶養者の現状がどのようになっているか、などを明記する書類を提出しなくてはならない、とされた。
 だが、これに対して、専門家からは「自治体が容易に申請をはねのけることができる『水際作戦』では?」との疑問の声もあがっていた。時はおりしも、大阪で28歳の母親と3歳の息子が生活保護を受給せず餓死していた時期に近い。この母親は以前居住していた大阪府守口市の生活保護担当窓口で仕事が見つからない場合は相談に来るよう伝えられていたが、訪問はないまま大阪市に転居していた。
 こうした状況もあり、煩雑な書類を生活困窮者が用意するのは大変なのでは? ということで、民主党が修正案を作成。5月29日に「口頭で説明するだけでも大丈夫」といった改正案を自民、公明、民主、みんなの4党が修正することで合意された。
 いわば、4党が人権に配慮した形となったが、共産党の志位和夫委員長は「断固として許すわけにいかない」と会見で述べ、ツイッターでも「生活保護の大改悪許すな」「生活保護の受給権を奪う『水際作戦』を合法化する改悪法案」と改正案を酷評した。
 同法案は今週中にも可決される見通し。生活保護に関し、政権与党・自民党は参議院選挙の公約で以下のように述べている。

  「最後のセーフティネットとしての機能は維持しつつも、不正受給者には厳格に対処します。高齢者も含め、就労困難者と就労可能者について別途の仕組みを検討します」「『手当より仕事』を基本にした自立・就労促進、生活保護費(給付水準の1割カット)・医療費扶助の適正化、自治体における現金給付と現物給付の選択的実施など抜本的な見直しを行います」

 このように、2010年度は0.4%だったという不正受給に対し、厳しい姿勢を見せた。なお、共産党は公約で「生活保護費の抑制を求める政府の指導により、自治体では、受給希望者に申請書さえ渡さない違法な「水際作戦」や、保護開始後、生活が軌道にのっていないのに無理やり保護の辞退届を書かせるなどの非情な行政が横行しています」と厳格化には否定的な考えだ。そして、「必要な人がきちんと生活保護を受けられるようにします」としている。