消費税は、対象物の価格が高ければ高い程、税収アップになる。消費税増税によって売上が伸び悩むリスクをヘッジする為に、その分を価格に転嫁するのがメーカーであり、その為の、大儀名分が必要になる。

【生活用品】
 製紙大手の日本製紙や王子製紙は8日、ティッシュやトイレットペーパーなど家庭紙の値上げに向け、スーパーなどと価格交渉を進めていることを明らかにした。急速に進んだ円安で原料のパルプや木材チップの輸入価格が高騰しているためで、今後、店頭価格に反映される可能性がある。
 家庭紙を扱う日本製紙の子会社「日本製紙クレシア」は、4月1日以降の出荷分について15%以上の値上げを目指す。王子製紙も同様に10~15%の値上げを求める方針。両社とも円安によりドル建てで東南アジアやブラジルから輸入している原材料の価格が上がり、収益が圧迫されているという。
 王子製紙は1ドル当たり1円の円安で、本業のもうけを示す営業利益が約4億円目減りする。これまではスーパーなど安売りを推し進める流通各社の反発を考慮し、価格転嫁は見送ってきた。


 国民の足元では消費者物価が猛烈な勢いで上がり始めた。ガソリンなど石油製品から、トイレットペーパー、小麦、食用油、食料品やブランド品まで輸入価格が跳ね上がっている。 公共料金も値上げされる。
 政府は昨年の東京電力に続いて関西電力、九州電力の値上げ申請を認可し、5月から電気代が大幅に上がる。燃料費の高騰分はそれとは別に料金に転嫁されるから、消費者にはダブルパンチだ。都市ガス料金も標準家庭で月額72円から104円引き上げられる。

 自動車ユーザーは自賠責保険料が2年契約で普通乗用車は2890円、軽自動車は4400円、小型貨物は1万3550円も引き上げられ、損保各社は地震保険料の最大3割値上げを申請している。実施されればマイホームの所有者だけではなく、家賃にもはね返る。

 石油などの燃料、紙やポリエチレン、小麦や大豆といった原料、そして電力や流通コストまで高くなれば、これから、物価上昇は他の食品やプラスチック製品、紙製品などさまざまな商品に及んでくるのは火を見るより明らかだ。

 忘れてはならないのは、現在の物価上昇に加えて、さらに消費税5%引き上げで全商品に価格転嫁されることだ。
 「物価目標2%」を掲げる安倍政権は、消費税アップの際に値上げに歯止めをかけて消費者の味方になるはずの「消費税還元セール」を禁止し、逆に「業者は価格転嫁カルテルを結んでいい」とする特別措置法案の成立を目論んでいる。そうなると、消費税アップ分の5%にとどまらず、“この際、デフレでコストを切り詰めてきた分まで価格転嫁してしまえ”という便乗値上げが襲ってくることを国民は覚悟しておかなければならない。