【動画】


(現場検証)

(2年に1度の立入検査を2003年以降、全く行わずに申告書類提出だけで判定した行政責任)

(有事後しか動かない国土交通省の後手通達)



(元ホテル従業員の証言)



【記事】
◆13日午前7時ごろ、福山市西桜町1丁目のホテル「プリンス」=同市多治米町1丁目、楠妙子さん(63)経営=から出火、4階建て延べ約1360平方メートルを全焼、隣接の美容院兼住宅を半焼して約3時間後に消えた。宿泊客7人が死亡、女性従業員1人と女性客2人の計3人が重傷を負った。福山東署によると、犠牲者のほとんどは大量に煙を吸い込んだ一酸化炭素(CO)中毒が死因とみられる。
 福山東署の調べでは、死亡したのは男性3人、女性4人。犠牲者の特定を急いでいる。当時、従業員女性(75)が1人で勤務し、13人が宿泊していた。
 同署などによると、ホテルは1960年築の木造2階建てと68年築の鉄筋4階建てをつないだ構造。窓が内側から板で覆われた客室があり、排煙や避難の妨げになった疑いが出ている。
 さらに、火災報知機が鳴らなかったとの客の証言もあり、同署は防火設備の不備や避難誘導の不手際で被害が拡大した可能性もあるとみている。
 福山市は昨年9月の査察で排煙設備や非常用照明に不備があり、天井や壁などに不燃材が使われていないなど建築基準法に不適格と指摘。だが、改善されていなかったという。
 ホテルの受付は1階にあるものの、一般のホテルとは違ってプライバシーに配慮してあるという。2、3階に客室が計18室、4階はボイラー室など。インターネット上で格安料金をうたい「ラブホテル~ビジネスのご使用まで、または長期のウイークリーまで対応」と紹介していた。
 同署は内部から出火したとみて14日に現場検証をする。現場はJR福山駅の南西約800メートルの住宅街の一角。
 総務省消防庁によると、3人以上の犠牲者が出たホテル火災は94年の福島市・飯坂温泉以来となる。('12/5/14 中国新聞ニュース)

2012.5.14 22:11(msn-NEWS)
 広島県福山市の「ホテルプリンス」で宿泊客7人が死亡、3人が重傷となった火災で、福山地区消防組合消防局が平成17年2月以降、消防法に基づきホテル側に点検報告を求める通知を一度も出さず、事実上放置していたことが14日、同局への取材で分かった。同局は「通知だけでは十分な効果が得られないと思った」としているが、同局では内規で2年に1回と定めた定期査察も15年以降実施していなかったことが明らかになっており、ずさんな対応がまた浮き彫りになった。
 一方、福山市が昨年9月に実施した防災査察で非常用照明や排煙設備の不備など建築基準法上の問題点を指摘した際、ホテルの女性経営者(63)が「経営が苦しく設備投資は難しい」と回答していたことも明らかになった。
 消防局によると、福山南消防署が平成15年9月に定期査察した際、ホテル側が自動火災報知機や消火器の点検、従業員らによる消火訓練などをしていなかったことが判明。このため同局は実施と報告書の提出を求めたが、ホテル側からの回答はなく、17年1月に再度通知を出した。
 ホテル側からはその後も報告書の提出はなかったが、消防局も福山南消防署に改善報告の状況を確認しないまま、7年間放置した状態になっていたという。
 消防局の吉澤浩一予防課長は「指導不足だったことは認識しており、再発防止の観点から、今後の課題としたい」と話した。
 消防は、ホテル側の防火態勢の不備を把握しながら、なぜ査察や改善確認を怠ったのか。14日に記者会見した福山南消防署の横山宏道署長は「査察対象物件が多く、人員不足で手が回らなかった」と釈明した。
 福山地区消防組合消防局によると、ホテルプリンスのような延べ床面積1千平方メートル以上の宿泊施設などの「第2種査察対象物件」は管内に1006件。昨年はこのうち557件の査察に入った。
 年間査察率は50%を超えており、計算上は消防法に基づく「2年に1回以上」の査察条件もクリアできたはずだが、ホテルプリンスだけ9年間で1度も査察に入っていなかった
 消防局幹部は「南消防署は他の7署と比較しても査察率が良かったはず。なぜこのホテルだけ見過ごしたのか分からない」と首をかしげる。
 横山署長は14日の会見でも「原因については調査中としか言えない」と繰り返し、「9年間も査察できなかったことは重く受け止めている」と声を落とした。
 一方、福山市も昭和62年9月から昨年9月までの間に計5回、建築基準法に基づく査察に入り、ホテルの構造上の不備などを指摘したが、改善報告を求めただけで最後まで確認していなかった。
 市建築指導課の高橋正樹課長は「改善してもらえるよう管理者に強く働きかけるべきだったが、現行法では強制力がなく、制度上の問題もあった」と対応の不備を認めた。


◆7人が死亡した広島県福山市のホテル火災で、広島県警は犠牲者の身元を確認しながら氏名や住所を公表していない。現場がラブホテルとしても利用されていたことを理由に「プライバシーに配慮した」と説明するが、親子で宿泊していた例もあり、県警の判断に専門家からは「情報を操作される危険がある」と懸念の声が出ている。
 「身元が確認されても、名前や住所は言わない」。広島県警の担当者は、13日の火災発生当日から、非公表とする方針を報道陣に伝えていた。報道側は再三にわたり発表を求めたが、県警側は「特殊な現場」を根拠に匿名とする態度を崩さなかった。
 火災が起きたホテル「プリンス」は風営法に基づき営業。主にカップルを対象にしていたが、インターネット上ではビジネスマンや長期滞在客も受け入れると宣伝。犠牲となった親子も69歳の母親と44歳の娘で、一般のホテルと同じ感覚で利用していた可能性がある。
 氏名などの発表については、遺族らを中心に反発がある。1998年の和歌山の毒物カレー事件では、遺族宅を連日、多くの報道陣が取り囲む事態となったことが問題化。各地でも大きな事件や事故が起きると、被害者への集団的過熱取材(メディアスクラム)が発生することもあった。
 犯罪被害者支援団体の幹部は「ただでさえ心が傷ついている時に、追い打ちを掛けるような仕打ちを受けることになる」と指摘。氏名などの公表を被害者が選択できる仕組みを求める声もある。
 各警察の発表基準については、警察庁幹部は「各都道府県警が、それぞれの事件の性質に応じて個別に実名か匿名かを判断している」と話す。
 16人が犠牲になった2008年10月の大阪・難波の個室ビデオ店放火事件では、大阪府警が遺族の匿名希望の要望を伝えた上で、氏名や住所を明らかにした。
 01年9月に東京・新宿で発生した歌舞伎町ビル火災でも、警視庁は犠牲者の氏名を公表。ビルには風俗店が入居していたことから一部の新聞社は匿名報道としたが、多くの報道機関は実名だった。遺族の中には「プライバシーを侵害された」と反発があった一方、公表された情報をもとに取材した記事に「家族の姿を多くの人に知ってもらうことができた」と理解を示す声もあった。
 ジャーナリストの大谷昭宏氏は「プライバシーで最終責任を持つのは報道機関」と指摘。田島泰彦上智大教授(メディア法)も「第三者の立場ではない警察を通して被害者の声が伝わるということが一番の問題」と警鐘を鳴らす。(共同 2012年5月15日6時1分)

匿名報道ではなく、警察が公表しないという違和感

◆7人が死亡し、3人が重傷を負った福山市西桜町1丁目のホテル「プリンス」の火災を受け、中国地方の消防本部・局は14日、防火安全対策の徹底に向けた特別査察の実施や検討に相次いで乗り出した。
 広島市消防局は、市内のホテル、旅館など宿泊施設の緊急調査を開始。JR広島駅近くのビジネスホテル「サンパレス」(南区)ではこの日、広島南消防署の2人が点検に入った。客室や廊下の防火状況、避難通路、調理場こんろ付近の引火物の有無などを調べ、異常がないと確認した。
 同ホテル経営会社の上原田誠社長(43)は「火災は人ごとではない。安全管理だけでなく、従業員の意識向上に努めたい」と話していた。市消防局は今月中に全約300カ所を調査する予定。
 福山地区消防局の福山東消防署はスーパーと飲食店の計2カ所を査察。三次、庄原市を管轄する備北地区消防組合も同日、昨年7月の定期検査で不備があった両市のホテルと旅館の計約30施設の調査に入った。呉市消防局は市建築指導課と合同で点検を始めた。
 広島県は県内13消防本部・局に消防法に基づく査察の徹底を求める通知を出した。15日以降、尾道、三原、安芸高田の各市の施設でも査察が始まる。
 山口県の防府市消防本部、島根県の松江市消防本部などもこの日から査察を開始。両県の大半の消防本部が順次点検に入る。岡山市消防局は15日以降、管内195施設を対象に調査する。('12/5/15 中国新聞ニュース)

◆火災で宿泊客7人が死亡した福山市のホテルについて、福山地区消防組合は、過去25回の立ち入り検査で改善指導を続け、このうち4回は現在の経営者が立ち会っていたと発表しました。
 消防によりますと、火災となったホテルプリンスに対し、1981年以降▽防火設備の未点検▽屋内消火栓の不備▽避難訓練の未実施の3点を改善するよう指導していたということです。
 この3点については、2003年まで合わせて25回指導し、このうち2000年以降の4回は現在の楠妙子社長が立会い、指導を通知する文書の立会人の氏名欄に署名していることを明らかにしました。
 楠社長の弁護士は、「社長が『消防の立ち入り検査で防火面の不備について指摘を受けた記憶はない』と話している」と説明していました。(5/20 11:51RCC)