大型ディスカウント店などで万引を繰り返したとして、大阪府警が窃盗の疑いで、ベトナム人留学生の男ら7人を逮捕、送検したことが4月5日、捜査関係者への取材で分かった。ベトナム在住の女がフェイスブック(FB)を通じ、現地で人気の化粧品などを盗むよう7人に指示。帰国する別の留学生を盗品の「運び屋」に利用していたという。

 捜査関係者によると、逮捕されたのは、ダオ・テェ・クァン容疑者(23)=東京都豊島区東池袋=らベトナム籍の20代の男7人。東京と大阪が拠点の2グループで、平成25年以降に留学ビザで来日し、日本語学校に通っていた。

 ダオ容疑者の逮捕容疑は昨年10月、兵庫県内のディスカウント店で化粧品など計25点を窃取したとしている。2グループは昨年1~10月、東京や大阪で計15件(被害総額約130万円)の窃盗を繰り返したとされ、全員が「学費や生活費を稼ぐためだった」と容疑を認めている。

 7人はベトナム在住の女からFBを通じ、「日本の大手化粧品メーカーの製品を買い取る」と持ちかけられ、1回あたり数万~十数万円の報酬を受け取っていた。ダオ容疑者は、別の留学生らに飛行機代を支払う代わりに盗品を持ち帰るよう依頼していたという。

不法就労〝主役〟はもはや中国人にあらず!
稼ぎ求める「勤勉」ベトナム人留学生急増 ブローカーも暗躍
 法務省入国管理局によると、27年に不法就労で摘発された外国人は7973人で、うち中国人が13年連続トップの3268人。不法就労はピークだった5年(6万4341人)から年々減少を続け、24年には1万人を下回ったが、27年は留学生や技能実習生数が伸びたことなどを背景に増加に転じた。

 特に急増しているのが、タイ、インドネシア、そしてベトナムだ。

 ベトナム人の過去10年の摘発数をみると、20年の1473人から24年には380人まで減少したが、27年は1160人とわずか3年で約3倍に急増している。

 今年5月には大阪市生野区のベトナム人留学生12人が不法就労で書類送検されるなど、各地で摘発が相次いでおり、捜査担当者は「中国人の不法就労が増えていた当時と同じ状況が、ベトナム人の間で起こっている」と危機感を募らせる。