改正道路交通法が12月1日から一部施行され、自転車の路側帯通行は左側に限られる。違反した場合の罰則は「懲役3カ月以下または罰金5万円以下」。自転車同士の衝突など事故の減少が期待されるが、ルールの周知が課題で、九州・山口でも県警がチラシを配るなどして順守を呼びかけている。

 「歩道以外は自転車は左側通行と覚えてもらうといいと思います」。11月27日、福岡県筑紫野市の市シルバー人材センターで開かれた交通安全講習会。福岡県警交通企画課の担当者が改正道交法について説明すると、参加したお年寄り約40人は「あー、なるほどねぇ」とようやく納得したようにうなずいた。

 参加者は前方の画面を見ながらペダルをこいで疑似走行できるシミュレーターでルールやマナーを学んだ。同市筑紫駅前通の岩本俊治さん(65)は「自転車で左側の路側帯を走っていると、正面から自転車で猛スピードで走ってくる中高生らが多くて怖い。法改正でそういう若者が減れば、自転車事故も減少するのではないか」と話した。

 路側帯は、主にセンターラインや歩道がない幅5・5メートル未満の生活道路に設けられている。幅75センチ前後と狭く、自転車が双方向で走ると正面衝突や接触の危険性がある。国土交通省などによると、昨年の自転車が絡む死傷事故の64%が生活道路で起きた。福岡県警の調べでは、県内では今年、自転車が絡む事故は10月末現在で5639件発生し、うち約3割の1703件が生活道路だった。

 現行の道交法は「(自転車は)著しく歩行者の通行を妨げる場合などを除き通行できる」と規定。左右どちらを走行するかは定めていなかったため、改正道交法で「左側に限る」とし罰則を設けた。

 だが、改正道交法の周知は十分とは言えない。福岡県警は11月から各地で街頭キャンペーンをしているが、28日に福岡市早良区で啓発チラシを受け取った高校1年の男子生徒(15)は「自転車で通学しているが、12月から法律が変わることは知らなかった。友達にも教えたい」と話した。大分県警も来月2日に大分市内の中学、高校がある地区でチラシを配布する。

 今回の改正道交法施行では、ブレーキがない自転車や、無免許運転を助長する行為も新たに規制される。

改正道交法の新規定と違反時の罰則 ※12月1日施行分
▼自転車の路側帯での左側通行
(懲役3カ月以下または罰金5万円以下)

▼ブレーキがない自転車の運転禁止命令
(罰金5万円以下)

▼無免許の人に車を提供する行為の禁止
(懲役3年以下または罰金50万円以下)

▼無免許の人の車に同乗する行為の禁止
(懲役2年以下または罰金30万円以下)

 これにより、自転車も通行できる一部の歩道や自転車道がないすべての道路で原則、自転車は進行方向の左側通行となる。幅の狭い路側帯で双方向の行き来ができなくなることで、県内でも自転車が絡む交通事故の減少が期待される一方、乗り慣れた交通手段のルールが大きく変わることに市民からは戸惑いの声も聞こえる。

 チャリで車道路肩走行中が感じる、後方から近づく車両の走行音による「恐怖」を全く理解しない道交法の改悪であり、このままでは、チャリ利用者に課税するような、いじめ税法も湧いてくる可能性すら内包している。専用道路の整備が進まない中で、車両扱いされながら、車道通行時は路面の悪い道端を走らされ転倒の危険と常に対峙しなければならない国、クソ日本である。